「司書のおすすめ」(新着コーナー横)
図書館では、月に一度、司書のイチオシ本を紹介しています。
月に2冊、手書き・イラストあり等、司書の熱い想いのこもった紹介文付きです。
今月のおすすめはコレ!
『子どもにおくる私の心にのこる話』鈴木喜代春/他 編
この本では、沢山の方の忘れられない話、心温まる話、
戦争の話などが短い文章でまとめられています。
読んでいると、幼い頃の懐かしい風景、懐かしい人々がふっと蘇ってきました。
大切なこと、忘れてはならないことを思い出させてくれ、自分の心の中を見つめることができた一冊です。
『私は忘れない』有吉佐和子/著
私がこの本を知ったのは、『Shimadas』という島ガイドでした。
鹿児島県三島村黒島の項目に、黒島が舞台の本として紹介されています。
黒島では、「さようなら」のことを「あしたよなぁ」と言うそうです。
その響きに惹かれ、ずっと読んでみたいと思いながらも、絶版で入手できない時期が続きました。
昨年、有吉佐和子さん没後30年にあわせてようやく文庫本が刊行されました。
昭和30年代、スターを夢見た主人公は挫折を味わい、東京から黒島へと渡ります。
今でも鹿児島港からフェリーで4時間50分かかる所です。
日本の高度経済成長から取り残された島では、現代では考えられないような風習が残っていたり、人間の営みは自然からの恩恵により成り立つのだと感じずにはいられません。
帰りたくても船が港に着かない。
台風でなくても波が高ければ接岸できない。
島での食料は限られ、医師もいない島で病人が出た時の切迫感・・・。
今から55年ほど前の時代背景ですが、自分が生まれる15年ほど前まで実際にこんな暮らしをしていた人々が、きっと日本中にいたんだという事実に衝撃を覚えました。
いつかこの黒島に渡ってみたいものです。
そして、島を去る時には「あしたよなぁ~」と手を振ろうと思います。