「司書のおすすめ」(新着コーナー横)
図書館では、月に一度、司書のイチオシ本を紹介しています。
月に2冊、手書き・イラストあり等、司書の熱い想いのこもった紹介文付きです。
今月のおすすめはコレ!
『細雪(上中下)』 谷崎潤一郎/著
太平洋戦争中、軍部の発行差し止め処分に遭いながらも、文豪・谷崎潤一郎が執筆し続けた作品です。
スキャンダラスな人生や作品が有名な谷崎ですが、『細雪』にはきわどさが微塵も感じられません。
まるで王朝絵巻を見ているかのような、季節と行事の移り変わりが堪能できます。
谷崎の妻とその姉妹たちをモデルに書かれています。「では、谷崎はこの人物か・・・」と思いながら
読むのもまた楽しい。ラストの一文は、「え、なんで・・・?」と呆然とすること請け合いです。
『凍りのくじら』 辻村深月/著
藤子・F・不二雄先生好きを公言している著者によるオマージュ作品。
作中に「ドラえもん」の話やひみつ道具がたくさん登場し、同じ藤子ファンとして嬉しい気持ちになりましたが、ひみつ道具は物語と絶妙にリンクしており、「ドラえもん」で持っていたイメージとは全く異なる使われ方に、ただただ「!」の連続でした。